農園物語3
6. Innovation:イノベーション〜「VRIAACC」プロジェクトが始動〜
ブドウ品種の研究と開発で“未知なる領域”にチャレンジ

アルベ・イ・ノヤは「VRIAACC(耐性型在来品種)」の研究・育成プロジェクトを立ち上げ、抵抗力の高いブドウ品種の研究と改良に積極的に取り組む
より丈夫な“子孫”を未来に残す「VRIAACC」
研究・育成プロジェクトが始動!
アルベ・イ・ノヤは、早くから「VRIAACC(耐性型在来品種)」の研究・育成プロジェクトを立ち上げ、ブドウの病気である真菌(カビ)や自然災害などに負けない抵抗力の高いブドウ品種の研究と改良に取り組んできました。「VRIAACC」は、PIWI品種(主なブドウの病気であるうどん粉病・ベト病などのカビに強い品種)の開発を目指したプロジェクトで、PIWIの先進国であるドイツ、フランス、アメリカの交配技術をモデルにしたもの。
気候変動に対応した古木を丹念に育て、スイスのブドウ栽培学者をはじめとする専門家たちと手を組んで自生品種と抵抗性品種を交配し、真菌に対する自然な抵抗性を獲得させることにも成功しています。とりわけ2013年以降、地元の品種と真菌耐性品種との交配を30万回以上行い、高い成果を挙げてきました。
現在、アルベ・イ・ノヤの農園内ではPIWI品種の実験農場を作っています。ザレッロ、マカベウ、パレリャーダ、テンプラニーニョ、赤グルナッシュといったスペイン固有品種の未来を見据え、すでに耐性を持つ他の品種とかけ合わせて、より丈夫な“子孫”を未来に残すための開発を進めています。

気候変動に対応した古木を丹念に育てるため、地元の品種と真菌耐性品種との交配を30万回以上も行ってきた
自然と戦うのではなく、自然と共存することで生まれる「未来派有機ワイン」

干ばつや真菌耐性の強い抵抗性品種の開発は持続可能な農業に大きく貢献する
「VRIAACC」プロジェクトの目標は、環境保護が大きなテーマの一つです。地球温暖化など気候変動の影響でブドウ畑はこれまで以上の病害が予測されていますが、干ばつや真菌耐性の強い抵抗性品種の開発は、ブドウ畑での処理回数を減らし、CO2排出量、土壌の圧縮削減、生物多様性の保護などにつながり、結果的に持続可能な農業に大きく貢献することになります。何より、クリーンで豊かなその味わいは、健康にも環境にも優しいすぐれたワインの提供を可能にしてくれます。
「自然と戦うのではなく、自然と共存していくのだ」と彼はいいます。
これこそが、アルベ・イ・ノヤが常に革新的といわれ、有機ワイン生産者をはじめとする多くの人が彼の冒険と挑戦に期待を寄せる大きな理由です。
「VRIAACC」プロジェクトで得られる成果

+ecology
耐性品種で畑での処理回数が減ってCO2排出削減。土地の圧縮も大幅に削減される。

+ethical
畑での銅・硫黄の処理を9割以上削減により、環境とひとに優しいクリーンで健康的なワインを提供。
労働者の健康維持・増進にも貢献。

+diversity
ひとと環境に重点を置いた耐性品種の新たな価値観により、未来派ワインのさらなる可能性を切り拓く。
「VRIAACC」プロジェクトの歴史
1998 | 4代目オーナー、ジョセフ・マリア・アルベ・イ・ノヤはピエール・バスラー博士とともにフランス・プロヴァンスで耐性品種を発見。彼の手により、最初の抵抗性品種が植えられた。 |
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2007 | 抵抗性品種に 関する研究グループ設立。ペネデスの土着品種に基づいた新しいプロジェクトの設立の必要性が提案された。 |
2011 | スイスの育苗家兼エンジニアのヴァレンティン・プラトナー氏によって、最終的にVRIAACCプロジェクト (Varietats Resistents i Autòctones adaptades al Canvi Climàtic)となった最初の研究を開始。 |
2013 | アルタ・アレッラとジョセフ・ピニョールのワイナリーがこのプロジェクトに参加。農園に、霜に耐性のある土着品種の実験的農園が作られた。 |
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2020 | 現代史上最悪のベト病が蔓延する中、耐性品種の実験的なブドウの木が大きな効果を発揮し、VRIAACCプロジェクトの実行可能性をさらに確信させた。 ※アルベ・イ・ノヤは、VAIAACCプロジェクトを率いると同時に、耐菌性ブドウ品種促進のための国際協会「PIWI International」の一員として国際レベルで実践的な知識交流を行なっています。 |
ピエール・バスラー博士の主導により、1999年、スイスで設立された耐菌性ブドウ品種促進のための国際的情報ネットワーク。
PIWI Internationalの主要メンバーが語る動画をぜひご覧ください
〜まだある!
アルベ・イ・ノヤの
ここがスゴい!〜
圧巻!セラー&絵画作品「ワインの階段」

最上階のワインバーまで続くジョアン・レーベンによる絵画の大作。絵画の一部は「エル・ファニオ」のボトルにも採用されている
▶︎ CLIP

ビッグ・ハウスの前にある中庭でテイスティング農園での商談風景
1872年に建てられたアルベ・イ・ノヤのビッグ・ハウスには、レセプション、壮大なラウンジ、テイスティングコーナーやレストランがあり、ワイナリーツアーで訪れる多くの人のくつろぎの場所となっています。中でも、1925年に設計されたモダニズム様式のワイナリーの中にある通称「ワインの階段」は必見!4階まで続くハウス内のフロアを取り囲むように、スペインの著名な芸術家・ジョアン・レーベンによる絵画の大作が壁一面に描かれています。農園誕生からのヒストリー、ブドウ畑の成長サイクル、ワインの醸造プロセス全体が伸びやかなタッチと美しい色彩で忠実に具現化され、下から見上げると、アルベ・イ・ノヤのワインに傾けた情熱の全てが一望できる仕組みに。そこには、スタッフたちや自然界の生きものまでが大家族の一員として登場し、心からワイン造りを楽しんできた日常の姿が生き生きと表現されています。ユニークな創作とアイデアには、アルベ・イ・ノヤの遊び心がいっぱいです。
スタッフ一人ひとりが有機ブドウ農園のヒストリーを創ってきた

アルベ・イ・ノヤのビッグファミリー。ワイン造りに対する熱い想いが初代から脈々と受け継がれている
スタッフ一人ひとりが家族であり、ひと・生きものも全てが農園ヒストリーの主役であると、アルベ・イ・ノヤは考えています。「彼らはワインを個性的で他とは違うものにする“何か”を持っている」と彼は言います。それは、1903 年初代当主がこの地でブドウ栽培を始めて以来、5代にわたり脈々と受け継がれてきたアルベ・イ・ノヤの理念であり、これからも決して変わることのないDNA。
全員が毎日仕事を楽しみ、同じ思いで有機ブドウ栽培に情熱を傾け、心からワイン造りを楽しんできた日常が、天然酵母のようにワインをより高みへと昇華させるアクセントに。アルベ・イ・ノヤのワインには、そんな心の豊かさに満ち溢れています。
さあ、次はあなたが楽しむ番。お気に入りのいっぱいで乾杯!