黒瀬みよの夏便
-Summer Table- 夏を彩る食卓

2026年7月10日

こんにちは、イラリスタッフです。
料理家・黒瀬みよさんによる「動画で学べるレシピ」第2弾ができました。

「動画で学べるレシピ」第2弾 をみる  ▶︎

●「動画で学べるレシピ」第1弾 【チキンのマリネグリル】 はこちら ▶︎



今回お届けするのは、夏の食卓を彩る「夏のタルティーヌ」
食材の組み合わせや彩り、ひとつひとつの味わいが引き立つ一皿。

料理家・黒瀬みよさん考案のレシピは、「作れば褒められて、我が家の定番になった」という声が多く寄せられる人気シリーズ。

今回ご紹介するこのタルティーヌは、黒瀬さんのレッスンでランチとしてお出ししていたこともあり、毎回とても好評だったそうです。
受講者の皆さんからは、“ミヨティーヌ”という愛称まで付けてもらったのだとか。

そして、ぜひあわせて読んでいただきたいのが、黒瀬さんがこの一皿に込めたエッセイです。
「タルティーヌとは、人生かもしれない。」
そんな印象的な言葉から始まる文章には、季節の食材を楽しむこと、美味しさと美しさについての思いが綴られています。

レシピを作る前にも、作ったあとにも。
この一皿に込められた物語を、ぜひお楽しみください。





タルティーヌとは、簡単に言うとオープンサンドのことで、語源はフランス語のタルティネ、それには塗るという意味があるらしい。

バターやジャムを塗り、好きなものを乗せて食べる。
タルティーヌというものについて考えれば、それはとてもおおらかな料理だなとおもう。
何か決まったものを乗せるのがタルティーヌなのではなく、結局のところ、何を乗せたって良いのだ。(タルティーヌとは人生かもしれない。)
フランスパンにバターを塗って、ハムとチーズを乗せるだけで立派なタルティーヌになる。

だがしかし、どうせ乗せるならば美味しく、かつ、美しければうれしい。(ハムとチーズだけでも確実に美味しいのだけれど。)
「美味しい」も「美しい」も、誰かのなかにそれぞれ持っているもの、ということはわかってはいながらに、わたしなりの美味しいと美しいがこの夏のタルティーヌに乗っかっていたらいいなと思う。

わたしの思う「美味しい」のなかにはシンプルであることと素朴であること、このふたつがおそらくある。
洗練されつつも自然体であるということ。相反するようだが、それらはかならず共存できる。
パンの香ばしさ、具材のうまみ、ソースの味。それぞれの味が消えないままに支え合っていてほしいと思っている。

それひとつでは成り立たないような素朴なものやそれひとつでも何にも負けない個性のあるもの。それらが合わさったときにあらわれるひかりをわたしは見たいのかもしれない。そしてあな たにも見せたいのかもしれない。
そういう思いを持ちながら、わたしは夏のタルティーヌを組み立てる。

パンはなるだけ香ばしさのあるバゲットやカンパーニュなど、ハードなものを選ぶ。
マッシュブロッコリーはとても地味だが、素材の持つ甘みと塩気が、パンの香ばしさにとても合う。
そこへ旨みの強いベーコンとまろやかなポーチドエッグを合わせる。
この3つだけでも十分美味しい。

だけどやっぱり夏だし、夏らしい爽やかさを足してみたくなった。
わたしがここで選んだのはオレンジとミント。これらの香りは変わらない日常に突然あらわれる そよ風の吹く草原や、異国の水辺のようにわたしたちを少しだけ非日常へ連れていく。

こうして出来上がった夏のタルティーヌ。
きっとあなたの目の前に、あたらしい場所へつながる扉が開くことを願って。









黒瀬みよ@Miyo Kurose

料理家/
料理教室a.treat
@a.treat

プロフィール:
1980年 食いしん坊一家の長女。大阪生まれ
クシマクロビオティック日本校卒業
その後薬膳を3年間、フランス地方菓子を5年間学ぶ。
2017年よりアメリカへ帰国後、a.treatを立ち上げる。
レシピ開発や料理教室、instagramでの配信レッスンも行う