INTRODUCTION

星に夢中になり始めたのは14歳のころ、当時(1980年)手描きで作成したホロスコープを眺めては、惑星が示す意味と同時代の出来事との共時性にワクワクしていたのを覚えています。
そのときの天体配置で特に印象的だったのは土星と木星が共に乙女座から天秤座に移動して約600年ぶりに風のエレメントに集っていたこと。
いまでは多くの人が耳にする「風の時代」へのストロークを感じながら未来の私らしい在り方を模索していました。
そこから半世紀近い月日を経た現在、新しい時代の到来は外からもたらされる以上に、個々の内なる気づきと豊かな繋がりから拡がっていくのだと実感しています。
この連載では、惑星たちが奏でる二十四節気ごとの天体配置から、より魅力的で私らしい暮らしを楽しむための星々の語らいをお伝えしていきます。

春分 牡羊座の季節
20 March 2026

2026年3月19日

春分
昼と夜の長さが等しくなり
光と闇が静かに均衡する瞬間

魚座の時間が、
言葉になる前の感覚をほどき、
自分という存在の根に水を与えてきたとするならば、
牡羊座は、そこから立ち上がる直観の火。
整えられた意思が少しづつ動き出すタイミングです。

雨水の頃、海の向こうでは大きな戦争が始まりました。
緊張は連鎖し、さらに強い衝突へと向かう気配もあります。
しかし星々は、ただ外側の炎を見よとは言っていないようです。
むしろ問われているのは、内側の火をどう扱うのか。
内なる火を静かに見つめたあとで、もう一度世界を見渡してみる。

すると同じ出来事でも、そこに向ける眼差しは
少し変わっているかもしれません。
怒りに巻き込まれるのではなく、恐れに蓋をするのでもなく、
自分の立ち位置から世界を見ること。


今年の春分図は、とても象徴的です。

雨水の図と、アセンダント、MC、ディセンダント、ICが
すべて同じ配置になっています。

ASC 射手座
MC 乙女座
DS 双子座
IC 魚座
大きな枠組みは変わっていません。

世界の始まりは、意味を探究する射手座。
社会的な役割は、具体と検証の乙女座。
他者との関係は、対話の双子座。
そして根底には
魚座の集合的な感受性が流れています。
時代の軸はそのまま。
変わったのは太陽を伴うステリウムだけです。

魚座から牡羊座へ。
整えるフェーズから、立ち上がるフェーズへ。

土星と海王星は牡羊座0度付近にとどまり、
理想と現実の緊張を保ち続けています。

冥王星は水瓶座で集合意識の深層を書き換え、
天王星は現実の基盤を揺らし、
キロンは自己肯定と傷のテーマを静かに問い続けています。

外枠は変わらない。
しかし主語が変わります。

魚座では
「世界の流れのなかで感じる私」
牡羊座では
「ここから始める私」

射手座ASCは受け継いだ理念を掲げています。
しかしMC乙女座は言います。
「その理念はどこまで日々の実感に降ろせるか?」
双子座DSでは議論や情報を鏡写しに交えます。
そしてIC魚座は静かに問いかけます。
「まず、自分の深層を裏切っていないか?」

世界が分断され、
正義と正義が衝突するとき、
怒りは簡単に正当化されます。

牡羊座の火は
外へ向ければ攻撃になり、
内に灯せば創造になります。

春分は占星術的な一年の始まり。
しかしそれは声高な宣言ではありません。
小さな主語の回復です。

完璧でなくていい。
準備万端でなくていい。
未完成のままでも、一歩を踏み出すこと。

それが牡羊座の純粋な火。
魚座で整えた感受性を、牡羊座で意志へと変えていく。
朝の光を自分から迎えにいくこと。
言われたからではなく、望むから動くこと。
世界が騒がしいときほど、自分の感性に素直に
その一日を始めることが最も静かな革命になります。


春分 牡羊座の季節。
均衡の一点から、新しい火が灯ります。

それは誰かを打ち負かすためではなく、
「私はここから始める」と自分に言い直すための火です。

もしよければ、こんな問いを静かに自分へ向けてみてください。

・いま私の中に灯っているのは、怖れから目を逸らすための仮の光ではなく
あたたかな気持ちに支えられた確かな輝きだろうか

・私は誰かの期待に応え過ぎていたり、無意識の防衛心から動いていないだろうか
きちんと自らの感性と意思を大切にしているだろうか

・今日という一日を、私は自信をもって自分から始めているだろうか
条件付きの自信ではなく、私が私であることとの対話ができているだろうか

その答えは、すぐに見つからなくてもかまいません。
春分の光のなかで、その問いとともに歩き始めること。
それ自体が、もう新しい季節の始まりなのです。


イズモアリタ(MASAFUMI ARITA)

星の神話とタロットの図象
/伝承叡智の研究
テキスタイル&グラフィック
/デザイナー

プロフィール:
星とタロットの図案家として 未発掘の心象シンボルと無意識の同時代カルチャーをスケッチしている。2004年より世田谷ものづくり学校にアトリエを構え、コンバースシューズやヤコブセンのチェアをはじめ、BEAMS、IDEE、CIBONE、サザビー、ほぼ日、JTB、伊勢丹BPQC、高島屋、等で様々なプロダクトを発表してきた。近年は、独自の縄文&出雲的な感性と星々との呼応から制作活動を展開。古代の伝承から同時代のものまで古今東西の文化に詳しく、ゼロ歳からのワークショップ、美術大学で造型指導も行っている。

イズモアリタ instagram
@izumoarita

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