INTRODUCTION
星に夢中になり始めたのは14歳のころ、当時(1980年)手描きで作成したホロスコープを眺めては、惑星が示す意味と同時代の出来事との共時性にワクワクしていたのを覚えています。
そのときの天体配置で特に印象的だったのは土星と木星が共に乙女座から天秤座に移動して約600年ぶりに風のエレメントに集っていたこと。
いまでは多くの人が耳にする「風の時代」へのストロークを感じながら未来の私らしい在り方を模索していました。
そこから半世紀近い月日を経た現在、新しい時代の到来は外からもたらされる以上に、個々の内なる気づきと豊かな繋がりから拡がっていくのだと実感しています。
この連載では、惑星たちが奏でる二十四節気ごとの天体配置から、より魅力的で私らしい暮らしを楽しむための星々の語らいをお伝えしていきます。
穀雨・牡牛座の季節(20 April)
すべての人はアーティストである
牡牛座生まれの芸術家、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys 1921-1986) は
社会彫刻(Social Sculpture)という概念を提唱していました。
日々の選択、言葉、関係性、そして暮らしそのものが、
社会という巨大な彫刻を形づくっているというものです。
観る、触れる、味わう、嗅ぐ、聴き入る、そうした行為の中に
永続する美や真理を見出そうとするのが牡牛座の本質。
ボイスが用いたフェルト、脂肪、蜜、銅といった素材は、
単なる物質を超えて、生命のぬくもり、変容のプロセス、時の記憶を帯びています。
「誰もがアーティストである」
彼の言葉には、芸術を作品という枠組みから解放し、
私たち一人ひとりの生き方そのもののなかに創造性を呼び覚ましていく、
不思議な力が宿っているようです。
太陽 牡牛座 イングレス

2025年4月20日 4時55分(東京)のイングレス図では
山羊座15度の下弦の月が天頂(MC)に輝いています。
世の中の仕組みに宿る厳しさのなかに、
暮らしに寄り添う蟹座的な温もりをにじませる配置です。
この月は、牡牛座0度の太陽・25度の天王星が結ぶミッドポイントと
トライン(120度)を形成していて、古い社会構造が根底から揺さぶられるなか
「私が本当に大切にしたいこと」に目を向けることが鍵となるでしょう。
魚座12ハウスには金星・土星・ドラゴンヘッドが重なり、
牡羊座12ハウスの水星・海王星とステリウムを形成。
金星と土星の天王星とのセクスタイル(60度)
→ 内面の成熟が、新たな社会潮流を予感させます。
水星は水瓶座10ハウスの冥王星とセクスタイル(深層からの社会変革)
獅子座4ハウスの火星とトライン(情熱の着火)、
太陽と火星のスクエア、そして木星の関与(矛盾の克服と柔軟な視野)、
いずれもダイナミックな動きを暗示しています。
東の地平線(アセンダント)に昇る牡羊座キロン(癒しの天体)も印象的で
この季節のもう一つの指標として“汝自身を癒せ”というメッセージが
浮かび上がっているようです。
暮らしの中で育まれるアート
創造の種は、あなたの日常のなかにある。
ほんの少し立ち止まって、五感を研ぎ澄まし、
自分自身の“今”を感じてみること。
たとえば……
素材にこだわってみる
五感でゆっくり味わう
草花や動物に触れてみる
静かに耳を澄ませてみる
穀雨から始まる牡牛座の季節、
こうした小さな感受の行為こそが、
「私という存在のリアリティ」を豊かに育み、
この世界に新たな彩りを添えてくれそうです。


イズモアリタ(MASAFUMI ARITA)
星の神話とタロットの図象
/伝承叡智の研究
テキスタイル&グラフィック
/デザイナー
プロフィール:
星とタロットの図案家として 未発掘の心象シンボルと無意識の同時代カルチャーをスケッチしている。2004年より世田谷ものづくり学校にアトリエを構え、コンバースシューズやヤコブセンのチェアをはじめ、BEAMS、IDEE、CIBONE、サザビー、ほぼ日、JTB、伊勢丹BPQC、高島屋、等で様々なプロダクトを発表してきた。近年は、独自の縄文&出雲的な感性と星々との呼応から制作活動を展開。古代の伝承から同時代のものまで古今東西の文化に詳しく、ゼロ歳からのワークショップ、美術大学で造型指導も行っている。
イズモアリタ instagram
@izumoarita