イラリ飯って、どんなごはんと聞かれたら、「からだに良くて美容にも効く、今、食べたいごはんです」と答えます。この時期(今)、取り入れたい食材は何だろう。おいしいとか、ヘルシーだとかそんなことを超えた、からだがよろこぶ健康美な食材とごはん。「いただきます」をより健康に、ごはんの時間が待ち遠しくなるイラリ飯へ、ようこそ。
Vol. 8 麹から始まる健康ごはん
いつの間にか寒くなりました。それもそのはず、気付けば初冬を過ぎて寒さが増してくるのが今。温かく過ごすための対策だとか今日はあったまるごはんにしようとか、そんなことに余念がありません。話は少し遡って10月中旬、冬になったら活用したいと思い醤油麹を仕込みました。あれから2ヶ月、今ではとろみが付くほどになり使用するに過不足無し、よく育ってくれました。
麹は仕込みから使い方まで、ちゃんと学ばなければならないと思われるかもしれませんが、そう難しいものではありません。まずは「生活に麹がある」というところからで大丈夫。市販のものを購入して肉や魚など食材を漬け込んでみる、冷蔵庫に麹がある、私もそこからのスタートでした。
麹が冷蔵庫にあることに慣れてきたら、麹を買ってきて自分で仕込んでみるというのが次のステップ。自分で仕込んで手作りすることで(育っていく様子が手に取れます!)麹が身近に感じられるようになりますし、完成するまでは毎日かき混ぜたりもしますので愛着も湧いてきます。今月のJust Gohanでは麹の仕込みとその活用についてお伝えさせていただきます。
ご存じの通り、麹(こうじ)が私たちの健康とからだに及ぼす影響は思うより絶大で、驚きに満ちています。その驚くべき実態はとても神秘的なもので、知れば知るほど楽しいものでもあると思っています。そもそも麹は、蒸した米や⻨、大豆などに麹菌を付着させ、繁殖しやすい温度、湿度など一定の条件下で培養したもの。そして麹にはアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼなどの消化酵素をはじめ、30種類以上もの酵素が含まれています。麹に含まれている酵素には、消化や吸収を促進したり腸の善玉菌を増やしたりと腸内環境を整えてくれる働きがあります。腸の環境が整って働きが活性化することで肌の生まれ変わりを助け、免疫力アップなど、麹に含まれる酵素には美容や健康に嬉しい効果がいっぱい。秋冬の風邪予防や肌の乾燥対策(食べる美容)にも麹はとても優秀!だと思っています。また麹は発酵の過程で多くのビタミンB群を生成します。ビタミンB群は疲労の回復や美肌の維持、活性酸素の除去などに役立つ栄養素。元気な気持ちとからだを保つためには欠かせない成分、ぜひ積極的に摂りたいものです。
醤油麹は麹と醤油を混ぜて熟成させるだけ。旨みたっぷりでとても万能な調味料になります。出来上がってからの使い方も漬ける、混ぜる、かける、など無限大!野菜が不足した時には、いろいろ野菜と鶏肉(部位はモモでもムネでもささみでも良い)を炒めて、最後に醤油麹をたっぷり入れて豪快に摂取するのが今年流。からだがスッキリして美肌も助ける秋野菜の醤油麹炒め、作ってみてください。
【醤油麹】
米麹.......200g
醤油......200m
1.保存容器に麹を入れる。(板麹は1粒ずつバラバラにほぐす。)
2.醤油を加え、全体がなじむようにていねいに混ぜる。(最初はポロポロでも大丈夫。)
夏なら 3 日程度、冬は 1 週間程度でとろみが付いてきます。熟成したら冷蔵庫で保存。

たねいちとも子さん(TOMOKO TANEICHI)
料理研究家/ごはんブロガー
/ブランディング・ディレクター
プロフィール:
健康的で肩ひじ張らない料理の提案、よりよく健やかに⽣きるためのライフスタイルを体現。⾷品メーカーや化粧品会社との商品開発、⾷と美容の企画をプロデュース。 コミュニティの場として料理教室を設け16年続けている。20代は公益財団法⼈に⼊社し芸術⽂化の助成に係る。その中で健康こそ財産だと確信して30代は美容と健康の道へ。⼥性誌を中⼼とした美容業界での活動とケータリングやレシピの提案など⾷まわりの活動をスタート。2015年には料理法や⾷の⽂献を深めるため⼥⼦栄養⼤学に⼊学、2017年卒業。2016年にリトリートオイル「BUDDHI」のコスメティック・ディレクターに就任。コスメをはじめ美容と食のディレクターとして活動している。