INTRODUCTION

星に夢中になり始めたのは14歳のころ、当時(1980年)手描きで作成したホロスコープを眺めては、惑星が示す意味と同時代の出来事との共時性にワクワクしていたのを覚えています。
そのときの天体配置で特に印象的だったのは土星と木星が共に乙女座から天秤座に移動して約600年ぶりに風のエレメントに集っていたこと。
いまでは多くの人が耳にする「風の時代」へのストロークを感じながら未来の私らしい在り方を模索していました。
そこから半世紀近い月日を経た現在、新しい時代の到来は外からもたらされる以上に、個々の内なる気づきと豊かな繋がりから拡がっていくのだと実感しています。
この連載では、惑星たちが奏でる二十四節気ごとの天体配置から、より魅力的で私らしい暮らしを楽しむための星々の語らいをお伝えしていきます。

夏至・蟹座の季節(21June)

2024年6月21日

冬至に生まれ変わった太陽が七つの星座を巡って蟹座へと辿り着き、この世界を最も明るく照らし始める季節。星々のフォークロアが語り継ぐミッドサマーのエピソードは存在の喜びに満ちています。同時に、これまで溜め込んできた様々な「想い」や役割を終えた「モノ」や「コト」を見つめ直し、ココロも暮らしもシンプルに整え直すタイミングでもあります。

夏至の天体を観てみると、2011年あたりに始まった新しい時代への潮流が総仕上げの段階に入っていて、一人一人が内なる誠実さのなかで創造的なセンスの源と繋がっていく直観的な深まりが感じられます。普遍的でありながら日々の暮らしに豊かな解像度をもたらしてくれる上質な大衆文化が、先進的なコミュニティーから同時多発的に広まっていく。
そんな流れの起点になっていくと思います。

2011年は水瓶座時代を牽引する天王星が約100年ぶりに春分点に到達。

GAFAMの台頭とスマートフォンの普及は、個と個が国境を超えて繋がる新時代の規範を形成し始めています。
同年海王星はホームグラウンドでもある魚座に戻り、165年周期の最終段階に突入。
これまで日常感覚や社会生活と乖離しがちだったスピリチュアルなジャンルが、マインドフルネスやエシカルな認識、オーガニックなフードやコスメなど一般市場に浸透してきました。

2024.6.21 夏至図

国際的な問題や国内の政治経済に関しては「秘密裏の動き」といったネガティブな暗示もありますが、そこに無力さを感じるのではなく、一人一人が「嘘のない私らしさ」を大切に本当にやりたい事、やり易いことから働きかけて行くことで、少しずつ大きな繋がりを生み出していける、そういったポジティブな天体配置も確認出来ます。

「私たちは、この世界に翻弄されながら複雑な順応を強いられているように感じがちだが、実はこの世界の様々な様相は、心の奥の深い創造像域から必然的なタイミングで現われていて、夏至の天体配置から星々の叡智を思い出して行くなら、『私と世界』の本来の関係を取り戻していくことが可能である」

星々の行間からこんなメッセージを読みとることが出来ます。

どうやら私たちの「いまここ」は想像以上にダイナミックな時代に居合わせているようです。
イラリからのライフスタイル提案や、そのなかで私が始めようとしている、星々の語らいも新しい時代の豊かさをシェアしていく一助となれば幸いです。


イズモアリタ(MASAFUMI ARITA)

星の神話とタロットの図象
/伝承叡智の研究
テキスタイル&グラフィック
/デザイナー

プロフィール:
星とタロットの図案家として 未発掘の心象シンボルと 無意識の同時代カルチャーをスケッチしている。2004年より世田谷ものづくり学校にアトリエを構え、コンバースシューズやヤコブセンのチェアをはじめ、BEAMS、IDEE、CIBONE、サザビー、ほぼ日、JTB、伊勢丹BPQC、高島屋、等で様々なプロダクトを発表してきた。 近年は、独自の縄文&出雲的な感性と星々との呼応から制作活動を展開。古代の伝承から同時代のものまで古今東西の文化に詳しく、ゼロ歳からのワークショップ、美術大学で造型指導も行っている。

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