INTRODUCTION

星に夢中になり始めたのは14歳のころ、当時(1980年)手描きで作成したホロスコープを眺めては、惑星が示す意味と同時代の出来事との共時性にワクワクしていたのを覚えています。
そのときの天体配置で特に印象的だったのは土星と木星が共に乙女座から天秤座に移動して約600年ぶりに風のエレメントに集っていたこと。
いまでは多くの人が耳にする「風の時代」へのストロークを感じながら未来の私らしい在り方を模索していました。
そこから半世紀近い月日を経た現在、新しい時代の到来は外からもたらされる以上に、個々の内なる気づきと豊かな繋がりから拡がっていくのだと実感しています。
この連載では、惑星たちが奏でる二十四節気ごとの天体配置から、より魅力的で私らしい暮らしを楽しむための星々の語らいをお伝えしていきます。

穀雨・牡牛座の季節(19April)

2024年5月17日

地球から見た太陽が牡羊座から牡牛座へと移行するこの時期は、二十四節気で「穀雨」と呼ばれるように、大地が潤い、葡萄園も芽吹いて、食卓の彩りも鮮やかになっていく季節。金星が守護する牡牛座シーズンの到来とも言えますが、ここでは太陽星座で振り分けた牡牛座生まれに限らず、全ての人が享受出来る“牡牛座的なギフト”について綴ってみたいと思います。

牡牛座での天王星・木星コンジャンクション

ここ数年、牡牛座を運行中の天王星は、私たちのリアリティーに大きな変革をもたらしてきました。仮想通貨やNFT、メタバースなど、まだまだ定着していないものもありますが、“水瓶座時代”を本格的に牽引し始めた冥王星と連動するように、水瓶座のルーラー天王星がリアリティの盲点を補完するスクエアな角度に配置されていることで、私たちの身体感覚をはじめ、誰もが信じて疑わない「過去から未来へと不可逆に流れる時間感覚」そのものに「より自由で本質的な捉え直し」が拡がり始めているようです。

そのひとつにあげられるのが「いまここ」というキーワード。過去にも古代から伝わる神秘思想からの引用が度々ありましたが、2011年の牡羊座での天王星・木星コンジャンクションとそれに続く魚座へのルーラー海王星のイングレスという天体現象は、個が世界とリンクしていくSNSの普及とシンクロするようにマインドフルネスの定着やSBNRの潮流を醸成していきました。(*SBNR/Spiritual But Not Religious:特定の宗教を介さず精神的な豊かさを求めること)

また、新しいリアリティーへの刷新を担う天体として、古典的な天文学や占星術には登場しなかった目に見えない惑星に天王星・海王星・冥王星が挙げられますが、これらの惑星は、私たちの潜在意識や共通無意識という未開拓だった領域に新たな認識の光を灯しながら、 過去の経験からもたらされる囚われを解体、もしくは溶解し、より本質的なポテンシャルへと導いています。

これらの伏線を私たち一人一人が創造的な感性で回収していくきっかけとなるのが、天王星と木星が牡牛座で重なるこのタイミング。2025年の夏から2026年にかけて、ひと足先に水瓶座入りした冥王星とタイミングを合わせるように海王星は牡羊座の春分点を通過し、天王星も双子座に移動して、新しい時代の共創を促すようなシンフォニックな形成を描いていきます。

これら星々の奏でるムーブメントは、現時点での一般的な共有は時期尚早に感じられるかもしれませんが、過去からのマーケティングに従属する消費者的な「私」を脱却して、かけがえのないギフトとしての「いまここの創造的な私」を起点としていくには、最も適切なタイミングなのかもしれません。


イズモアリタ(MASAFUMI ARITA)

星の神話とタロットの図象
/伝承叡智の研究
テキスタイル&グラフィック
/デザイナー

プロフィール:
星とタロットの図案家として 未発掘の心象シンボルと 無意識の同時代カルチャーをスケッチしている。2004年より世田谷ものづくり学校にアトリエを構え、コンバースシューズやヤコブセンのチェアをはじめ、BEAMS、IDEE、CIBONE、サザビー、ほぼ日、JTB、伊勢丹BPQC、高島屋、等で様々なプロダクトを発表してきた。 近年は、独自の縄文&出雲的な感性と星々との呼応から制作活動を展開。古代の伝承から同時代のものまで古今東西の文化に詳しく、ゼロ歳からのワークショップ、美術大学で造型指導も行っている。

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