JOURNAL

自分が自分らしくあるために、
幸せを実感しながらより輝いて生きるひと。
ブレない軸を持ち、本質的な豊かさを見出だすひと。
そんなイラリなひとに、豊かな暮らしの本質を学びます。
時代の先をゆく賢者たちのライフスタイルから、
強く、しなやかに生きるヒントを見つけてください。

本物は、美味しいだけじゃない!その先にある「豊かな暮らし」を未来につなげる 後編
Vol.6 岩城紀子さん スマイルサークル代表

2024年11月22日

前編に続き、スマイルサークル代表の岩城さんに「食への熱き思い」を伺うインタビュー企画。後編では、いよいよ岩城さんのプライベートライフにもふれ、『美と健康×ホリスティック・ライフ』、そして健康寿命を延ばしながら美しく生きるコツをご紹介。

一般のスーパーの何倍もの高額商品も棚に並ぶ。安い調味料が美味しさを壊す理由とは

グラホには、日本全国から吟味厳選したさまざまな生産者の商品が並んでいるが、中には一般のスーパーの何倍もの高額食品or商品も存在する。
「グラホに並ぶ食品or商品の中には、価格が高いものもありますが、良いものは高い、それは真実です。たとえば醤油の値段はまさにピンキリで、1リットル300円以下のものもあれば1000円以上するものもあります。私がセレクトするのは、ラベルに“天然醸造”と表記されたもの。添加物を使用せずに昔ながらの本醸造製法でつくられたもののみに決めています。また、現在ではステンレスタンクで熟成されているものがほとんどですが、あえて昔ながらの木樽を使っているメーカーさんを選びます。大量生産はできませんが、まろやかな風味と深いコクがあり、少量をちょろっとかけるだけで刺身も豆腐も劇的に美味しくなるんです」

丸大豆と小麦を原料に、木樽で何年もじっくり熟成させて出来上がった醤油と、脱脂加工大豆(大豆油を搾り取った後の絞りカス)を使って短時間で発酵・熟成させた安価なものとでは、製法も美味しさも価格も異なる。
塩、砂糖、味噌、みりん、酢といった料理の要となるほかの調味料も然りだ。

「買い物は“この商品をもう一度食べたい”という気持ちを込めた投票です」と岩城さん。10年20年先も食べていたいと思うものを買って一票を投じよう。それが食の未来を変える力になる

食費を抑えたいと思えば必然的に安価な材料を手に取るだろう。ところが本当の意味で食費を安く抑えるポイントは、本物を使うことだと岩城さんは断言する。
安価な食材や調味料だけに頼ると、どうしても旨みやコクが足りず、本来食品から摂取すべき良い成分も不足してしまいがち。結果的に身体の不調を引き起こしたり集中力が落ちたりと負のスパイラルに陥りやすいです。私は、良い食品は人間の本来持っている最高のパフォーマンスを引き出すと信じていますし、結果的に余計なことにお金を使わなくてよいようになると考えています。

醤油をはじめとした塩や味噌などの基礎調味料は特に違いが歴然。良い材料を使えばシンプルな調理で美味しく仕上がり、料理の腕が上がるのだ。
添加物が少ない食事を心がけたことで「頭痛やイライラが解消された」、「胃腸の調子が良くなり、肌トラブルがなくなった」という声も実際に多く聞かれるそうだ。

「もちろん高ければ全て良いものとは限りません」と岩城さん。
「原料に何を使い、どんな製法でつくられたものなのか。商品を買う際には、必ず裏側のラベルを見る習慣をつけてほしいと思います」

“人は食べた物でできている”とよく言われます。
食べたり飲んだりするものへの知識を高め、体の声に耳を傾けてみてください。健康寿命を延ばすためにはもちろん、心の豊かさにもつながります。より美しく、自分らしく生きる上でとても大事なことなのです」(岩城さん)

岩城さん直伝!今日から始める「健康寿命と幸せの5原則」

健康寿命を伸ばし、免疫を上げるために岩城さんが提唱する「健康寿命と幸せの5原則」をノーカットでご紹介。日々の生活に意識的に取り入れて『美と健康×ホリスティック・ライフ』を実現しよう。

1 食事
「愛」が詰まっている食事を食べる。
添加物など愛に必要ないものは使わずに、あなたのことを考えた食事をすることが大切。

安いものには理由がある。これを知っておくこと。手づくりが無理なら外食でも弁当屋さんでも、つくっているひとの顔が見える場所で。良いものを食べられることに感謝して、体が喜ぶのを聞いて、愛を食べさせてくれたひとに「ご馳走様」を伝える。お腹を満たすのはただの補充。「ひとを良くする食事」を意識しよう。

2 睡眠
布団に入って10分以内に眠れて、目覚ましが鳴る前にパチっと自分の力で起きられる眠り。副交感神経を優位に立たせるために、お風呂やサウナに入って血流も良くしよう。
良い睡眠の為の準備を整えて、「今日も良く頑張ったね」と労り、いざ入眠。時間も大切だが、質が重要。温かい布団で寝転んだ時に「あー幸せ〜」って言ってみて。

3 運動
散歩でもトレーニングでもいいが、少し自分に負荷をかけた運動をしてみよう。筋肉を意識して、どこの筋肉が頑張っているのか感じながら動かしてみよう。出来るなら太陽に当たりながら、パワーをチャージしながら運動しよう。
この体の細胞は両親からの贈り物であることを覚えていて。

4 自然にふれる
森に入る、土にふれる、緑に囲まれる。理想は週に一度、最低でも月に一度は電線がない、コンクリートがない「森」に行こう。太陽の木漏れ日や花の匂いや虫の声。自分の細胞が喜ぶようにたくさん深呼吸して。自分の力ではどうにも出来ない大自然に囲まれると、思考の角度も変わるから。自然にふれると小さな事に気付けるようになるの。

5 笑う
ゲラゲラ大笑いしなくてもいい。まずはひとと目が合ったら微笑んでみよう。
今日は自分が何人を笑顔に出来たか。次はなんでも面白く考えちゃおう。探究心を忘れずにチャレンジしていると笑顔になる。「ありがとう」「お疲れ様」「お帰り」に大きな笑顔を添えてみよう。ひとは鏡だから。

感謝の心を育む「食育」で、内側から健やかに

食べて幸せになるためにもう一つ加えたいことがあるという。
それは、食育。

「お子さんには、なるべく添加物の少ない安心・安全な食事を心がけてほしいなと思います。そして、食べものや生産者に感謝する心を育んであげてください。日本の子供たちの多くは、学校で田植えを体験し、つくり手や自然へのありがたみを学びます。
お米だけでなく、日本の食卓に馴染み深い発酵食品などについて、小さな頃から教えられて育った子供は幸せだと思います。食べることに好奇心と喜びを感じ、繊細な味の違いを感知する力が身に付くでしょう。
ぜひご家庭では“いただきます”と言って、食べることの楽しさを分かち合いながら食卓を囲んでください。良い食体験の積み重ねは、心身ともに健やかに成長していくために欠かせません」

「最後の晩餐」で何を食べたい?

美味しいものを知り尽くした岩城さんに、最後の晩餐で何を食べたいか聞いてみた。

「あるサイエンス映画で、家族が最後の晩餐を囲むシーンがありました。それを観たとき、もしも自分だったら?と考えてみたのです。私は誰かから“これ美味しいね”とか“あれ作って!”と言われるとすごく嬉しくなります。だから、最後の晩餐を迎えたとしたら、家族や友人一人ひとりの“これ食べたい、あれ食べたい”というリクエストに全部応えたい」

「肉じゃがとか、フレンチトーストとか、カレーとか。誰かが食べたいというものをつくるとき、“よっしゃよっしゃ”ってめちゃくちゃ幸せな気分になります。みんなが食べたいものこそ、“私が最後に食べたいもの”なのです」

こう話してくれた岩城さんの表情がひときわ華やぐ。その瞳には「愛情」という栄養素がキラキラ満ち溢れていた。

「誰かの “これ美味しいね”という言葉を毎日のように聞けるこの仕事は、やっぱり天職。私に食の喜びを教えてくれたおばあちゃんに、心から感謝します」

次なる目標は『健康寿命と幸せの5原則』の実践。企業研修やサマースクールで「食の大切さ」を教えたい

2023年9月にオープンした「犬と人間の健康寿命をのばす」ための新施設『グランドロックキャッスル(GRC)』

昨年9月、ドッグランを中心に、カフェレストラン、バレルサウナ、トレイルドッグウォークなどを備えた「犬と人間の健康寿命をのばす」ための新施設『グランドロックキャッスル(GRC)』(兵庫県丹波市)の営業をスタートした。

豊かな自然あふれる約54,000㎡(5.4ヘクタール)の広大な敷地内では、ワンズ(愛犬)と一緒に食事や山歩き、キャンプが楽しめるほか、ミネラルたっぷりの天然地下水によるドッグプールも完備。食べて遊んで笑ってリラックス!ひとと愛犬のGRC流ウエルネスがここで叶う。

広大な森の中に位置する施設内では、フィンランド発祥の樽型サウナ『バレルサウナ』が楽しめる『GROUND ROCK CASTLE(グランドロックキャッスル)

岩城さんは今後、大自然の中の施設を活用し、『健康寿命と幸せの5原則』を実践するサマースクールや企業研修を計画中だ。

「家庭の事情で満足に食事ができない子供たちや、食育に悩む親世代、仕事が忙しくて健康管理が疎かになりがちなビジネスマンなどを対象に、食を通して幸せになるメソッドを提案していきたい」と構想を語る。

自然の中で添加物ゼロの食生活を体験し、よく遊んでぐっすり眠る。ただそれだけで体が喜び、心からの幸せを実感するという。

岩城さん自身、週末は愛犬と共にGRCへと向かい、自然とふれ合う時間をつくっている。土にふれ、緑に囲まれた空気を吸って、サウナに入れば、全身が心地よく“ととのう”のだとか。
都心では体験できないラグジュアリーな自然環境の中で、理想的なホリスティック・ヘルス・ライフを実践中だ。

GRCの広大な敷地内では、ワンズとひとが自然を満喫し、至福のときを過ごす

「8歳になるアメリカン・コッカースパニエルのメイと一緒に森の空気を胸いっぱいに吸いながら、トレイルドッグウォーク(プライベート林道散歩コース)を散歩するのが何よりの楽しみ。嬉しそうに私を見つめるメイの表情に癒されますね」。

愛犬家の究極のワークライフバランス実現に、愛くるしいメイちゃんの笑顔が貢献している。

―Another story 美味しい番外編―

「うちのおじいちゃんの最高の最期。私もあれはほんとに見習いたいんです」

“今日の夜ご飯、なんや?”
ある日、日向ぼっこしながら囲碁を打っていた祖父がふと祖母に尋ねた。
“今日は鯛の煮付けと、お煮しめですよ”
“そうかそうか”と嬉しそうに夕食の献立を聞き、大好きな囲碁を打ったまま眠るように倒れ、そのまま救急車で病院に運ばれた。

“今日の夜ご飯、なんや?”
それが祖父の最期の言葉になった。

「実はおじいちゃんは、亡くなる半年ほど前に家族全員を旅行に連れて行き、一人ひとりに贈りものをしてくれました。そして亡くなる10日前には、感謝の気持ちを綴った手紙をみんなに手渡しました。もちろんまだまだ元気でしたよ。でも今思えば、自分の死期を悟っていたのかもしれません」

人間には生きざまもあるけど、死にざまもある。祖父の死を通して学んだと言う。

「私もおじいちゃんのように美味しいものをたくさん食べて、最後まで家族や友人と幸せな食卓を囲んでいたい。そのためには感謝の心を忘れたらアカンと思っています。命に感謝、食に感謝、ひとに感謝しながら、次の目標に向かって前進します」

そして「私は死ぬ1週間前までこの仕事を続けてますよ」と力強く語ってくれた。

"WHAT WILL YOU LIVE WITH IN YOUR HANDS?"
岩城紀子さんのJUSTナチュラル

好きな場所

自然の中で食べるごはんは最高!私の思うみんなの大好物を、愛情をたっぷり込めてお腹いっぱいになるまで食べてもらうことが私の一番大事な瞬間。誰かのために心を込めて料理を作り、「美味しい!」と言ってもらうために私は生きています。

サウナ

サウナに出会ったことは私の生活を大きく変えてくれました。全身全霊で働きつくして疲れ切った身体を、サウナでリセット!翌日にはまたゼロから全力で動き出すことができます。パフォーマンス向上のためにも健康のためにも一生続けていきたい習慣です!

愛犬

私の大切な家族、アメリカンコッカースパニエルの女の子、メイ。メイがいるから、日本中の犬や愛犬家にとって最高に幸せな空間を作りたくて、GRCを立ち上げるきっかけになりました。1年でも長く一緒にいられるように、できる限りの努力をすることが犬を迎え入れるオーナーの責任だと思います。それを私だけでなく日本中の皆さんに伝えられる場所にGRCがなれればと思いますしそう思わせてくれたメイにはとても感謝です。

インタビューを終えて

おばあちゃんによる「食の英才教育」からはじまり、一貫して「美味しいものには愛がある」と伝え続けてきた岩城さん。あるときは、愛に満ち溢れながらも赤字続きで廃業寸前のバウムクーヘンを再生させ、またあるときは、忙しい毎日の「おうちごはん」をサポートすべく、添加物ゼロの冷凍食品の開発に着手。さらにはフェアトレードで知られるN.Y.の最愛チョコレートブランド『マリベル』の日本総代理店をスタートするなど、これまで手がけた“美味しい”社会貢献は数知れず。
新事業では犬とひとが“幸せ時間”を共有するアニマルウェルフェア型の施設、また将来を担う子供たちを支援する奨学金給付の財団も立ち上げた。
「日本の未来を変える小さな一歩になれば嬉しい」と岩城さん。新たな計画がまだまだあるという。
“よっしゃ!”という元気な声を、これからもたくさん聞かせてくれるに違いありません。

※イラリでもGRCの大自然の中でサマースクールを開催したいと考えています。みなさん、乞うご期待!


岩城紀子さん(NORIKO IWAKI)

/スマイルサークル代表取締役社長

プロフィール:
1972年、兵庫県生まれ。GAPジャパン、機能性食品開発のバイオベンチャーを経て、2008年にスマイルサークルを設立。百貨店、大手スーパー、通販会社など食品関係のコンサルタント業やバイヤー代行を務める。2014年グランドフードホールを設立。兵庫県・芦屋市と東京・六本木に店舗を展開。全国各地の2600社のメーカーと取引している.。著書『裏を見て「おいしい」を買う習慣』『からだ思いのグルメ調味料 選び方・使い方』(共に主婦の友社)が好評発売中。

Instagram
@n_iwaki