JOURNAL
自分が自分らしくあるために、
幸せを実感しながらより輝いて生きるひと。
ブレない軸を持ち、本質的な豊かさを見出だすひと。
そんなイラリなひとに、豊かな暮らしの本質を学びます。
時代の先をゆく賢者たちのライフスタイルから、
強く、しなやかに生きるヒントを見つけてください。
2025年『ホリスティック×ラグジュアリー』の新潮流
時代を生きる『2025年イラリな人 後編』〜文・齋藤薫〜
Vol.9 齋藤 薫(さいとう かおる)さん 美容ジャーナリスト/エッセイスト
前編に続き、後編では、美容ジャーナリスト・齋藤薫さん自身が実践している「ホリスティック×ラグジュアリー」のための7つのルールをご紹介します。
イラリ読者に向けた、リアリティに満ちた書き下ろしエッセイには、幸福感に満ちた「美しく生きる」ためのヒントがいっぱい!
ある時から、私は生き方はこう変えた。
自分にとってのホリスティック・ラグジュアリーな生き方へ。

ルール1・意識して"新しい自分を生きる"●人生にとって意味のあることなのか? それをいちいち問うようになった
キャサリン妃はなぜ癌になったのか? 完璧な私生活でも癌になるのは、もちろんストレスのせい。幸せそうに見えても、慣れない環境で四方八方に気を使う気苦労は計り知れない。幸い既に「寛解」の状態であると発表。今後はきっと意識して"新しい自分を生きる"のだろう。それは一度、死をも意識したかもしれないから。「人生は一瞬にして変わってしまう」という言葉も残しているが、そうした経験をすると、生き方が変わるのだ。心のありようがはっきり変わるのである。
悔しくも、キャサリン妃は公務において“ファッションばかりが注目されること”に抵抗を感じている、という報道があった。それにも深く納得した。以前からそういう意識は持っていたと言われるが、やはり病気をすると“大切なもの”が変わるから。
自分自身、極めて早期ではあったものの癌が見つかってから、生き方を変えた。食事を見直したのはもちろん、時間を無駄にするのをやめた。それこそ今日が最後の日であっても悔いが残らないよう。でも、それがとてもホリスティックであり、ラグジュアリーな生活だと気づくのだ。
買い物にしても、体験にしても、見るテレビ番組1つにしても、これは自分の人生にとって本当に意味のあることなのか? それを本気で考えるようになっていた。少なくとも、ああこれは無駄だったという後悔は残らない。それだけで、心に淀みが残らないのだ。日々を清々しく生きる絶対のコツである。

ルール2・知的欲求が真の幸福感を生む●"知的欲求"がこんなに幸せなものだったなんて、全然知らなかった!
「時間を無駄に生きない」という覚悟において、自然に芽生えたのは遅ればせながら"知的欲求"だった。
自分は知らないことが多すぎる。こんな無知のまま死んだら、もったいない。そう思ったら急にいろんなことが知りたくなった。大学に戻って学び直すほどのエネルギーは無いものの、方法はそれこそネットで調べたり、本で読んだり、はたまたNHK教養番組のアーカイブを覗いてみたり……それだけで知的欲求が満たされる。次は何を読もうか、何を見ようかと考える時のワクワクは、意外なほど。知的欲求がこんな幸福感を生むのだと、今まで気づかなかった。知りたいと思うことが喜びになり、知ることによって心が満たされる、まさに幸せの構図がそこにあるのだ。
特に知りたいのは、歴史と、人間の生理生態、宇宙のこと。いずれもそこから新しい生き方や考え方のヒントが湧き上がってくる。例えば、NHKの「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」。その圧巻のアーカイブをワクワクしながら視聴しているが、人間とは一体何者なのか? その不思議を学者とともにじっくり深く妄想するシリーズ。 「誕生」から「死」、「脳」「不安な感情」「右利きと左利き」といったテーマを、最新研究でひもといていく。人間にまつわる最新研究がどこまで進んでいるのかも語られるから、不老長寿の夢まで見られ、視野はどんどん広がっていくから、今や趣味の1つにまでなっている。

ルール3・“塗る”より“飲む”で、内側から深く潤す●情報に頼りすぎず"自分の場合"を丁寧に見極めたら、体質が変わった
とは言え今の時代に生きる最大のデメリットは、情報がありすぎること。もちろん知的欲求を満たす上では100倍便利。昭和の頃のように、何かの調べ物にも図書館に行かなければいけないことを考えたら、昔になんて絶対に戻れない。ただ、情報がありすぎると、人間は考えなくなる。特に“自分自身のこと”、“自分の場合”についてを、考えなくなるのだ。例えば、良いと言われたサプリを何の考えもなく飲む人が多すぎるように。
私はむくみや冷えに悩んできた経験から"血管に難があり"と気づき、自分のアンチエイジングの最大の鍵は血管強化と判断して、ヒハツのサプリを飲んでいる。夏でもストッキングを履かないとむくむほどだったのが、今はナマ脚でタカタカどこにでも行ける。驚くほどの違いがあって、自分の体をサプリで治すこともできるのだと確信した。
もちろん栄養素は食事で取るのがベスト、でもヒハツは食べ物で絶対必要量取れないからサプリに頼ったのだ。サプリもピンからキリまで。本気で選べば、本当に体が変わる。
また膝が痛いからコラーゲンパウダーをコーヒーに混ぜて毎日10,000ミリ。60代はコラーゲンが20代の頃の4分の1しかないのだから飲んで当然。体のあちこちに使われてしまうから大量に飲まなければ意味がないのだ。これが、3日休むとまた膝が痛くなるから止められない。つまりめちゃくちゃ効いているということ。ついでに肌も潤うから、スキンケアを忘れるほど肌も快調。50代を過ぎたら“塗る”より“飲む”。内側から潤さないともうモタないと思い知ったから。
いずれにしても情報任せにせずに、原因究明から解決法まで"自分の場合"を丁寧に見極めること。自分の体の声に耳を傾けるのはとても大事。極端な話、自分の体のちょっとした変化にも気づけるような敏感な感性を持っていないと、深刻な病気にも気づけないから。
ルール4・穏やかな心で過ごす時間を増やす●ともかく目を閉じて深呼吸。瞑想でイライラしない穏やかな心を養うこと
生き方を変えた中で始めたのは、瞑想。といっても本格的なものではなく、何となく目を閉じて深呼吸しているだけ。ゆっくりと鼻から吸って鼻から出す、その自分の息にできる限り集中するというだけのものである。
人間は1日に6万個もの思考を生み、そのうち8割は悪い思考だったりするから、その間だけでも頭を空っぽにする瞑想が必要と言う説に深く納得した。ただ瞑想中にも、気がつくとまた色んな邪念が頭の中を駆け巡っていたりする。今晩は何を食べようか、みたいな。でも、それはそれ、また自分の息に意識を戻して集中すれば良いだけ。そのうちだんだん集中することに慣れてくるからと。
それでもなかなか集中力が養えないから、思い切ってタイ旅行に行って無数にある寺院で、様々に瞑想を試みた。するとやっぱり環境なのだろうか。あぁ、これこそが瞑想だと思える瞬間が結構あって、その体験が日常的な瞑想でも生かされてきた。いやまだまだ中途半端だけれども、そういう時間を持つことで、イライラしない、怒らない、慌てない、穏やかな心で過ごす時間を増やせることだけは、確信できている。始めて良かったと思う。
ちなみに眠れない夜はYouTubeの「寝たまま瞑想」という人気のプログラムに頼っている。眠れないのは最悪のストレス。そういう時間はどうしても避けたいから。ヨガ講師が本当に囁くような声で、ゆっくりゆっくりと意識を導いてくれる。やがて意識不明。じつに心地よい時間である。

ルール5・ストレスを生まない、心に良い予定を1日1つ!●朝起きることを楽しみにするために、日々のプランを考える
朝起きるのが億劫か? それともワクワクしながら起きるのか? その人が幸せかどうかは、朝の目覚めの心情で決まると言われる。例えば、リゾートホテルの朝食が、そういう意味で本当に目覚めた時からワクワクするように。おそらく朝から機嫌が良い日は間違いなく良い1日となるはずで、人はどうしたらその朝をすがすがしく心地よく、ワクワクしながら起きられるのか? そのための工夫を繰り返すのが、自分にとってのホリスティック・ラグジュアリー。
まず、最良の目覚めのために、還元型のコエンザイムQ10を欠かさない。(これ、ミトコンドリアに働きかけるので、いろんなところに効くから薄毛も改善)。そして超のつく朝型生活なので、夜明けを待って植物に水をあげるのが日課。葉水も欠かさず。グリーンも朝を喜んでいるように生き生きするとそれだけで嬉しいから。スキンケアもメイクもまたそういう意味で朝ワクワクするためのものと考えてもいい。翌朝目覚めるのが楽しみになるほどの効果を持ったオーバーナイトケアと、朝、短時間で見違えるほどキレイになれる美容機器やシートマスクも、機嫌の良い朝にするためのもの。そして何より、翌日にストレスを生まない、心に良い予定を1つ必ず入れておくこと。すべては素晴らしい朝のために……そういう日常生活を送ると、人は自ずと幸せになれる。

ルール6・日本的な美徳を見直す●脱いだ履物を揃えるような、日本人の心を取り戻すことこそ心の浄化
日本人は、脱いだ履物をみな当たり前のようにきちんと揃え、時には他の人の履物まで揃えることがある……そういう光景を見た外国人が、これこそが日本人の精神性の源なのだと思ったという。それは心を整えることに等しいから。自分の目に入っている世界がきちんと整っていることが、そのまま心の浄化につながるから。
毎日の掃除も同じ。神に仕える人たちが掃除を何より大切にするのは、それが“動の修行”だからと言われる。断捨離以前に、毎日1カ所でもいいから丁寧に掃除する、それがいつの間にか精神の清らかさにつながっていく。
そしてお辞儀。お辞儀だけはゆっくりと美しくするように心がけると、それだけで人間が整う。「習慣が人格を作る」と言うけれど、日本的な美徳が今改めて見直されているのも、行動や所作が清らかな心を作るという考え方が普遍的な正解だからなのだろう。
特別なことをしなくていい。そういう当たり前の習慣だけで、 静かな幸せが得られることを、日本人は体験的に知っている。そういう国に生まれて良かったと思う。いやそれも年齢を重ねたからこそ、見えてくるもの。だから歳をとるのも悪くない、今しみじみそう感じているのである。
今のこだわりは、気がつくと、ホリスティック・ラグジュアリーなことばかりだった。
ルール7 だから結論!心も体も外見も、新しい生き方をカタチに●私が目指すホリスティック・ラグジュアリー、お手本は、この人!
一度贅沢をしてしまうと、生活レベルを落とせない……そう言われるけれど、一度華やかな生き方を経験してしまうと、地味な生活には戻れない、そうも言えるのだろう。最近の高齢者が華やかなのは、団塊の世代から以降、 バブルの経験や記憶があるからなのだ。でもそれ、正しいと思う。年齢を重ねたからといって地味に落ち着く必要など全くない。私自身も最近そう割り切って、これから先ちょっと新しい生き方しようと考えている。
そういう意味で重要なお手本になったのが、ダイアン・キートン。かつて「ゴッドファーザー」「アニーホール」などシリアスな役で一世を風靡、その後は作品に恵まれなかったが、60代70代、まるで覚醒したように復活。彼女のために作られたような映画、例えば「最高の人生の作り方」「また、あなたとブッククラブで」などで次々主役を張り、私服中心だと言うそのファッションたるや、若い世代を驚愕させるような、とてつもなくお洒落なフレンチアイビー。
アイビーだから何をしたって清潔感が失われない。じつは年齢を重ねるほどにアイビーは似合うのだ。だから、若作りをしているわけでは全くないのに、めちゃめちゃ若い。もちろんフレンチスタイルであることで、アイビーが陥りがちな野暮ったさは消え、心憎いほどスタイリッシュ。たちまち1つのスタイルを作り上げてしまった。
しかもこの人の主演映画の多くは恋愛あり。セックスの暗示あり。だからちゃんとセクシーでもある。なんだ、この年になっても恋していいんだ、と多くの人たちに気づかせたはずである。
だからといって、破天荒ではない。変わり者でもない。むしろ極めて常識的で、知的で、ファッションのみならず、人間的にもセンス抜群。だいたいがどの作品を見ても、みんなにとことん愛される満面笑顔の女性を演じていて、これはフィクションではなく、この人自身なのだろうと確信させられた。やっぱり今までの大人と違う。
女子高生のように明るく、30代のように頭が切れ、でも時々年相応の分別を見せる。これまで見たことのない斬新なバランスを見せつけたのだ。すっかりファンになってしまった私は、この人のように生きたいと思った。そんなふうに人に憧れるのは生まれて初めて。
だからなぜそんな私を魅了するのか考えてみた。それで得た結論が、これぞホリスティック・ラグジュアリー!と言うこと。ナチュラルでキュートでゴージャスで、セクシーでクールでエレガント。そして大胆かつファニー!
良い意味であらゆる形容詞を持っていて、心も体も外見も、見事にバランスが取れているから、本当の意味でのラグジュアリー=人を心地よくさせるパワーを見事に形にしているのだ。
そう、私はこういうふうに生きたいのだ、とそう気づかされたのである。かくしてテーマが見えたから、生きるのがとても楽になった。
迷いがないから。本当の意味で、年齢から解放されたから。
“What Will You Live With In Your Hands?”
齋藤薫さんのJUSTナチュラル
①部屋をグリーンで埋めること。
植物はただ実り、枯れるだけではない、波動や匂いなどで、植物同士がコミュニケーションをとっていることが科学的に証明され、ますます私たちと同じ、感情もある生き物であることが明快になっている。だからこそ、植物と一緒に生きることで、自然と共生する喜びを日々謳歌したいと考えているのだ。

②シンギングボールの倍音と波動に包まれて、魂を温めること
朝はいつも夜明け前に起きる。それは自分にとって最も充実した時間。バリで買ったシンギングボールで倍音を作って、魂を温めている。

③藤田真央のモーツァルトに癒されること
どうすると、こういう音が出るのか? それ自体が話題になるほど、天使が奏でる音。モーツァルトが乗り移っているかのような彼の音楽は一生聞いていても飽きない、最高のホリスティック・ラグジュアリー。


齋藤 薫さん(KAORU SAITO)
/美容ジャーナリスト/エッセイスト
プロフィール:
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーとしても活躍。
『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)、『一日一ページ読めば、生き方が変わる だから“躾のある人”は美しい』 (集英社文庫)ほか著書多数。