INTRODUCTION
星に夢中になり始めたのは14歳のころ、当時(1980年)手描きで作成したホロスコープを眺めては、惑星が示す意味と同時代の出来事との共時性にワクワクしていたのを覚えています。
そのときの天体配置で特に印象的だったのは土星と木星が共に乙女座から天秤座に移動して約600年ぶりに風のエレメントに集っていたこと。
いまでは多くの人が耳にする「風の時代」へのストロークを感じながら未来の私らしい在り方を模索していました。
そこから半世紀近い月日を経た現在、新しい時代の到来は外からもたらされる以上に、個々の内なる気づきと豊かな繋がりから拡がっていくのだと実感しています。
この連載では、惑星たちが奏でる二十四節気ごとの天体配置から、より魅力的で私らしい暮らしを楽しむための星々の語らいをお伝えしていきます。
春分・牡羊座の季節(20 March)
元始、私たちは太陽と月に導かれ、星々と共に生きていた…。
古代メソポタミア(シュメール〜バビロニア〜カルディア)では、
太陽と月の巡りを日々記録しながら、天空に広がる星辰と惑星の運行に
さまざまな法則性を見出してきました。
その後、カルディアの天文知識はギリシア〜アレクサンドリアへと受け継がれ、
紀元前150年頃には、西洋占星術の基盤が形成され始めます。
当時、アレキサンドリアに観測拠点を持つヒッパルコスによって歳差運動が発見され、
プラトンが唱えていたグレートイヤーの概念も、現代に繋がる形で整っていきました。
12星座の起点となる牡羊座0度が春分点に定められたのも、この頃です。
私たちが毎年迎える春分の日は、占星術における元旦であり、
「原点に立ち返って新たに進み始める」という意味が添えられています。
二十四節気の春分は、北半球において昼が夜よりも長くなっていく始まりであり、
太陽が牡羊座0度を通過する瞬間のホロスコープには、
私たちの心の奥にある集合意識や、これから一年間に体験する社会現象が映し出されているといわれています。
*歳差運動
地球の自転軸のずれにより、星座との位置関係が約72年に一度ずつ移動する現象。
*グレートイヤー
歳差運動によって、約26,000年かけて12星座を一巡する壮大な周期。牡羊座時代に
西洋占星術の基礎が組み立てられ、現代は魚座時代から水瓶座時代への移行期とされている。
2025年の春分図(3月20日18時)

今年の春分図は、鏡合わせのような構造になっていて、
牡羊座に入ったばかりの太陽は、7ハウスの入り口を照らし、
東の空の天秤座から遣わされてきた金星(逆行)、
コミュニケーションを司る水星(逆行)と共に、
「客観的なバランス感覚」と「嘘のない率直な対話」の重要性を促しています。
そこにエールを送っているのが水瓶座の冥王星。
私たちの日常を根底から変えていくような歴史的な変動は、
一人一人の独自性や創造性のあり方について、
新たな表現の可能性を準備しているようです。
射手座の月は、異国のメソッドや異文化から得られる視野の広がりを添えており、
その対岸に位置する双子座木星の視点も交えながら、
これまで手が届かなかった遠いものに触れていくような、
エキサイティングな対話を呼び起こしていきそうです。
一方で、魚座の土星と蟹座の火星が描くトライン(120度)には、
私たちがこれまで大切にしてきた暮らしを守るための強い意志が表れています。
さらに、同じく魚座にある海王星と牡牛座 天王星のセクスタイル(60度)からは、
内的な繋がりと共感から新しい表現を生み出していくような深い動きも感じられます。
春分は、新たな一歩を踏み出す絶好のタイミング!
その原動力は、過去に捉われず、未来からの流れを受けとる直観であり、
何よりもシンプルであることが、その直観の純度を高めてくれそうです。


イズモアリタ(MASAFUMI ARITA)
星の神話とタロットの図象
/伝承叡智の研究
テキスタイル&グラフィック
/デザイナー
プロフィール:
星とタロットの図案家として 未発掘の心象シンボルと無意識の同時代カルチャーをスケッチしている。2004年より世田谷ものづくり学校にアトリエを構え、コンバースシューズやヤコブセンのチェアをはじめ、BEAMS、IDEE、CIBONE、サザビー、ほぼ日、JTB、伊勢丹BPQC、高島屋、等で様々なプロダクトを発表してきた。近年は、独自の縄文&出雲的な感性と星々との呼応から制作活動を展開。古代の伝承から同時代のものまで古今東西の文化に詳しく、ゼロ歳からのワークショップ、美術大学で造型指導も行っている。
イズモアリタ instagram
@izumoarita