Vol.8 ワインの飲み頃、保存方法について
このワインはいつ飲めばよいのか。今が飲み頃?まだ早い?迷っている間にタイミングを失い、またしばらくお預け。。そんな経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、ワインの飲み頃についてお話しします。
熟成に向いているワイン、向いていないワイン

ワインにはそれぞれ飲み頃があり、熟成に向いているもの、向いていないものがあります。
フレッシュな果実味を楽しむように作られたワインは、基本的に熟成には向いていません。
比較的低価格帯であり、何年も熟成できるようには作られていないのです。熟成させたとしても風味は向上しにくいとされています。
熟成に向いているワインには、ワイン中の酸味(有機酸)、糖分、アルコール、ポリフェノールなどの量が多く含まれています。感覚的に言えば果実味が豊かでエキスが強く感じられるスケールの大きいワインです。こういうワインは、リリース直後ではそれぞれが個別に強く感じられることが良くあります。
ゆっくりと時間をかけて熟成していくことで、それぞれが溶け込み合い、まろやかで口当たりがよくなります。さらに複雑味が増して、なんとも言いがたい美味しさが生まれるのです。
しかし、古ければ古いほど良いわけではありません。
熟成のピークを過ぎてしまうと、徐々に酸化が進み、果実味が感じられない劣化したワインへと変質していきます。
ワインの保存方法
熟成に向いていないワインは、保存することなく早めに楽しみましょう。購入後すぐに飲んでも良いですし、飲まずに冷暗所に置いておけば大丈夫。それほど保存方法を気にしなくても、夏が来る前の数か月以内に飲むことをおすすめします。
一方、ゆっくりと時間をかけて熟成させたいワインは、保存方法に気を配る必要があります。

ワインボトルの理想的な保存環境
① 保存温度 14℃前後
液体の温度は熟成のスピードと質に直接的に影響します。
温度が高くなればなるほど熟成のスピードは速まり、日本の夏のような環境下では劣化に繋がります。
反対に液体温度が低くなれば熟成のスピードは遅くなります。また、低すぎるとワイン中の成分が結晶化しやすくなりバランスが崩れます。
② 湿度 70%前後
コルク栓が乾燥しないように湿度も管理します。
適正な湿度では、熟成に丁度良い微量の酸素がコルクを通して流入します。乾燥したコルクは酸素を多く取り込んでしまい、酸化が進んでしまいます。
③ 紫外線に当てない
紫外線はワインを劣化させます。ワインボトルに色が付いているのは紫外線対策のためです。透明なボトルのワインは、熟成に向かないフレッシュな果実味を楽しむように作られたものである場合が多いようです。
④ 振動させない
ゆっくりと時間をかけて良い熟成を期待するのであれば、冷蔵庫のコンプレッサーのような連続した微振動も大敵です。
⑤ 強い香りのものとは分けて保存
コルク栓を通して、ボトル内のワインに匂いが移ってしまうことがあります。強い香りのものそばに置かないようにしましょう。
このような環境が整えば良い熟成を期待することが出来ます。
保存方法によって変わる飲み頃イメージ
理想的な環境で保存されたワインと、そうではないワインを比較した場合、どのような違いがあるのでしょうか。
グラフにしてみました。
縦軸に「美味しさ」、横軸に保存時間を配置しました。
「美味しさ」とはとても抽象的な表現になってしまうのですが、イメージしてみて下さい。
理想的な環境で保存されたワインは、良い熟成が期待できます。「飲み頃のピーク」までには時間が掛かりますが、「美味しさ」は高い位置を示しています。
理想よりも高い温度で保存されたワインは、「飲み頃のピーク」を早く迎えますが、「美味しさ」は前者を下回ります。

実は「飲み頃のピーク」は誰にもわかりません。経験豊富な人ならある程度の予想はつきますが、その予想した時点で味見をしても、それが本当にピークなのか、これからピークを迎えるのか、既にピークを過ぎているのか。。
さらに飲む人の好みがあります。ある人が美味しいと評価したワインを、ある人は飲み頃を過ぎていると言うことも少なくありません。
自然派ワインの飲み頃、熟成、保存
酸化防止剤に頼らず造られた自然派ワインも、基本的に考え方は変わりません。
熟成に向いているもの、向いていないものがあります。酸化防止剤無添加のワインでもエキス分が強ければ良い熟成をしていきます。
但し、一般的なワインよりもデリケートであるため、特に温度管理に気を付ける必要があります。
熟成に向いていないワインでも、14℃以下で保存することが望ましいとされています。

時々こういう自然派ワインに出会うことがあります。
とてつもないエキス分が感じられるワインなのに、酸味が突出していてバランスが悪い。
飲みにくくて欠陥だと言われるかもしれないワインです。
しかし数年間ゆっくり熟成させることで、思わず声をあげてしまうほどの感動を味わえることがあるのです。
酸化防止剤無添加でも、自然派ワインの熟成にはこんなお楽しみが待っています。
次回は、スパークリングワインについて解説します。お楽しみに!

丸山謙二さん(KENJI MARUYAMA)
有限会社みどりや酒店代表取締役
プロフィール:
大学卒業後、建設工事の現場監督を経て、家業の有限会社みどりや酒店に入社。三代目社長。
(社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
ショップでのワイン販売、飲食店のワインリスト提案、ワインセミナー講師、たまに配達、そのほか、生産地に脚を運び自ら買い付けるワイン人。
自然派ワインを広めるべくワイン関連の様々なイベントを企画、開催。異業種とのコラボレーションなどにも積極的に携わる。美味しいものを食べて、ワインとの相性を試したり、想像したりすることが大好きなおじさんだが、最近体脂肪率が気になり筋トレを続けている。
ロワールワイン ワインアドバイザーコンクール全国第3位。みどりや和飲学園園長。
自然派ワインで世界平和!を願う、やぎ座のAB型。子年。